冷却CCDカメラ SBIG STL-11000M

2013/09/15 更新


1.STL-11000M
2.ABGの調整 2013/01/27 更新
3.望遠鏡との接続
4.フラット補正 
5.欠陥ピクセルの補正 2012/12/08 更新
6.スケアリング調整   2013/09/15 更新 New
7.デジタル一眼レフとの比較
8.もどる

1.冷却CCDカメラ SBIG STL-11000M (Class2)

  STL-11000M の諸元

画素 CCD(mm) 写野(ε250C) スケール 使用フィルター
4008×2672 36× 24.7 2.4°×1.7° 2.2″/pixel LRGB(SBIG)
(半値幅12nm・astronomik) 
Astrodon Tru-Balance Gen2 LRGB I-Serise LRGB フィルター

2.ABGの調整

  STL-11000Mはアンチブルーミング仕様であるが、わずかにブルーミングが生じる。STL-11000Mでは、ABG(アンチブルーミングゲート)の量を調整できるが、工場出荷時には調整されていない。この調整はSTL-11000Mを開け、基板の一部を外して可変抵抗器の調整ネジをドライバーで回転させることによりブルーミングの大きさを変化させることができる。
 下の画像は、蛍光灯にアルミホイルを巻いて人工星をつくり、200mmのレンズで撮影してブルーミングの変化を見たものである。右上の数字は調節ネジの回転角である。00とは回転角0°すなわちデフォルトの状態でブルーミングは最大である。45、60、90と回転角を大きくするとブルーミングが減少することがわかる(90°はピントがあまくなってしまった)。0°から45°の間ではブルーミングの変化はほとんど無いが、45°をこえると急に変化が大きくなる。
 SBIGによると、ブルーミングが出る場合90°回転させ、それでも出る場合はさらに90°回転させるとよいと記載されている。ところがブルーミングが減少するとこの逆に縞状のムラが生じるらしい。縞状のムラは短時間露出で顕著である。SBIGではムラが出る場合には回転角を左に回転させると良いとしている。
 ABGの調整の作業自体は簡単だが最適な調整はむずかしい。回転角を60°にし、ブルーミングは輝星でやや出る程度にした。しかし、銀河の中心部やM42の中心付近ではブルーミングの影響は大きい。この影響を小さくするために再調整して回転角を90°にした。結果的にブルーミングの量が減少し、縞状のムラはほとんど見られない。ABGを調整したら、ダークノイズはほとんど変化無かったがBiasの平均値が変化したたためダークライブラリーを更新した。


3.望遠鏡との接続

 

@ 2インチスリーブ(ノーズピース)

 標準の付属品である2インチスリーブによる望遠鏡への接続は簡単で強固である。スケアリングに不安があったが、実用上は問題なかった。しかし、35mmフルサイズのCCDカメラではケラレが生じる。対角線上の隅で光量は50%程(ε250Cの場合)に落ちる。STL-11000M本体のアクセサリープレートに4カ所のネジ止めで2インチスリーブを取り付ける。この穴はネジ径に対して大きいので2インチスリーブをカメラ本体から取り外してから再び取り付けると位置が異なる。これは、フラット補正に重大な影響を与えることがわかったので注意が必要である。センタリングが0.5mmずれてもフラット補正が正しくできない。

ε250C 2inch スリーブを使用したときのフラット画像

ε250C EOS マウントを使用したときのフラット画像

ε250C βSGRを使用したときのフラット画像


A βSGR

 今回、ε250Cにセミオートマチック フォーカサー・βSGR (ダイイチ)を取り付けた。βSGRとSTL-11000Mの接続は、βSGRの購入時に接続リングを特注して対応した。マウントはF3.4でもケラレないように開口部の大きいPentax67用を使用した。Pentax67マウントは、重いカメラを取り付けるとバヨネット部で撓みを生じる。STL-11000Mを取り付けてカメラに力を加えるとオス・メスマウントに隙間が生じるのが肉眼でも確認できるほどである。この種の撓みはEOSマウントでも見られる。この撓みを解消するために、Pentax67メスマウントに3カ所にM3タップをたて、横からオスマウントを押さえるようにした。最終的にスケアリングはデプスマイクロメーターで測定して若干のシムで調整し実用上問題ない精度にした。シム調整をした原因はリングの加工精度ではなく、Pentax67マウントのリングへの取り付けの問題である(取り付けは自分で行ったため加工精度が悪かった)。
 βSGRは非常に精度良くピント位置を検出できる。ピント位置の再現性もすばらしく、厚さの異なるフイルターを使用したときに威力を発揮する。もともとε250Cのヘリコイドはピント合わせをするとカメラが回転する方式なので、カメラの回転しないβSGRの合焦方式の恩恵は大きい。ASCOMドライバーも使用できるので、MaxIm-DLから操作できる。フィルターごとにフォーカス値が異なるとき、フィルターを変更すると自動的にフォーカス値をオフセット撮影される。使用しているLRGBフィルターとHαフィルター厚さが異なっていたので便利であった。

特注接続リング
左:Pentax67オスマウント。βSGRへ接続。  右:Pentax67メスマウント。STL-11000Mへ接続。


ε250Cへの取り付け

 

4.フラット補正

(1) フラット画像の撮影

@.光害地でSkyFlat を撮影してフラット補正を行う

夜空を望遠鏡で撮影して Flat画像を作る方法でる。天体撮影時と最も条件が同じになるため、フラット補正の精度が良いとされている。結果的に今までの方法の中で最も良い結果が得られた。光害地でSkyFlatを撮影すると、ε250C(f=850mm F3.4)+STL-11000Mで60秒露出ではCCDカウント値は10000(L)程度である。

SkyFlat の撮影

 
望遠鏡は天頂に向けて、恒星時追尾はしない。鏡筒を2階のベランダに置き固定したままである。この場所は人工光源からの光は鏡筒に直接入りにくい。
 
できるだけ透明度の良い月のない夜に撮影する。光害よる傾斜カブリをできるだけ小さくする。月があると鏡筒(フード)内に月の光が必ず入りフラット補正の精度が悪くなる。
 
鏡筒に拡散板はつけない。Light Frame の撮影となるべく同じ条件にする。
 
光害地でも60秒露出で、星の日周運動の軌跡は驚くほどたくさん写るが画像処理で消去する。この処理は拡散板をつけないほうが容易である。拡散板をつけると星が無くなるように見えるが、ピンぼけの星は必ず残る。
 
フラット画像のノイズを軽減するため30フレーム以上撮影する。またノイズ軽減のためだけでなく、フラット補正の原理上、Bias・Darkの処理を必ず行う。
 
露出時間 L 60秒×30、RGB各 60秒×30。STL-11000M のダウンロードに時間がかかるので30フレームのフラット画像を得るのに1時間かかる(L画像)。
         
SkyFlat の処理

 Bias・Dark 処理をおこなう。

 全画像撮影終了までに空の明るさが微妙に変化するので、星の軌跡を MaxIm-DLやStellaImageのシグマクリップで消去しようとしてもフラット画像に星の軌跡が残ってしまった。このため、1つの画像にフラット画像の輝度を合わせる処理が必要である(ノーマライズ)。ただし、画像には星の軌跡があるため、MaxIm-DL の CombineでNormalize にチェックを入れ、シグマクリップやメジアン等を試みても星は全てが消えない。このため、各フラット画像の中心付近(面積が全画像の2% 位)のメジアンをとりこの値を使ってノーマライズ処理をした。メジアンをとると星ではなく空のCCDカウント値を知ることができる。この計算は自作のソフトで行った。


図1 左:撮影開始  中央:撮影開始後30分  右:撮影開始後60分 撮影時刻が遅くなると空が暗くなっている(L画像)。


図2 図1の画像をノーマライズ処理。


図3 15フレームの通常のコンポジット

 5画像ごとにシグマクリップでコンポジットして星を消去する。30フレーム撮影すると星を消去した画像が6画像できる。この画像にはわずかに星が残る(図4)。

 
図4 左:5フレーム コンポジット(シグマクリップ)星はかなり消えているが強調処理するとまだ残っている(右)

 ウでできた6画像を再びシグマクリップでコンポジットすると星はほぼ消える。

 

 
図5 完成したフラット画像 LRGBの順。Rのフラット画像に特異な縦縞のようなパターンが見られる。 

SkyFlatを使用したフラット補正はかなり精度良くフラット補正ができる。わずかに合わないことも天体画像もあるが、下の(2)や(3)の方法によるフラット画像よりはるかに良い結果が得られた。



A. 青空を撮影 ×

青空を撮影すると、明るすぎてNDフイルター(D3:露出倍数1000倍)を付けないと撮影できない。NDフィルターを付ける場所にも問題がある。フラット画像を30フレームコンポジットにするとLRGBの撮影に時間がかかりすぎ(ダウンロード時間が長い)、薄雲の通過に悩まされる。このため、この方法は断念。さらに、色がかなり青に偏り、実際の天体撮影時の色と異なっている。

B. EL発光パネル ×

サイズを鏡筒の開口部をカバーできるA2サイズのEL発光パネルを使用してフラット画像を撮影した。試行錯誤したが結果的に良好なフラット画像ができなかった。原因を調べるとEL発光パネルの輝度ムラであった。明るく輝いているときはわからなかったが、調光できるインバーターを入手して輝度を暗くしたら、ムラの存在が明らかになった(図6)。初めから存在したムラか時間的変化によるものか不明であるがこれでは正確なフラット画像は得られない。何人かの方がこの方法で成功しているので機会があれば再挑戦したい。いつでもどこでもフラット画像が得られるので非常に魅力的な方法である。

図6 EL発光パネルのムラ(直接パネルを撮影した)。

C.LEDフッラトジェネレーター ○

LEDフッラトジェネレーター372mm GEOPTIK社製。光源はLEDである。光源のムラはかなりあり改造した。改造後は比較的良好なフラット画像が得られた。



(2) フラット画像撮影で考慮したこと

@フード

軽量化のため1mm厚の塩ビシートをまるめ、内側に黒の植毛紙をはったものを使っていたが、光がフードを少し通過していた。昼間の青空撮影では太陽光がフードに当たるとフード内部が少し明るくなっていた。このため、新しくフードを紙で作り直して外側には薄い厚さのアルミテープをはった。さらに、遮光環をつくり迷光の軽減をおこなった。




A フラット画像撮影時の光漏れ

天頂に向けた鏡筒のフードにEL発光パネルを置いたとき、フードとEL発光パネルの隙間から光が外部から漏れて鏡筒内に入っていた。明るい部屋で撮影するとこの影響が無視できない。

カメラのセンタリング

STL-11000M の2インチスリーブを取り付け方法は4ヶ所のネジ止めである。このねじ穴はネジ径に対して大きめなので、2インチスリーブを付けるごとに位置がずれる。2インチスリーブが天体を撮影するときとフラット画像を撮影するときに異なる位置になっているとフラット補正が正しくできない。ケラレが大きい2インチスリーブを使用したときにこの影響は顕著である。

B 望遠鏡の光軸修正

望遠鏡の光軸修正を行うと、フラット画像も異なる。

C 鏡筒内の光漏れ

ε250Cの主鏡セルには、外気に早く主鏡をなじませるために開閉式のスリットが付いている。うっかりスリットが空いたまま撮影すると、懐中電灯や車のヘッドライトに照らされると光が鏡筒内に入り込む。このように撮影された画像はフラット補正が正しくできない。さらに、スリットを閉じた状態でも少し光が漏れることが確認できたので光り漏れ対策を行った。


D CCD画像のゲタの落とし穴

CCD-Softで撮影した画像データは100加算された値が記録されている。このゲタはFITS Header には Bias 100 として表示されている。一方、MaxIm DL では Pedestal と表示されているが、符号は負の値である。すなわち、100 のゲタが加算されていても、CCD-Softでは Bias 100、MaxIm DL では Pedestal -100 である。
CCD-Soft や MaxIm DL で撮影した画像を StellaImage でダーク減算やフラット補正を行うときは、ゲタは無視される(と思われる)ので正しいフラット補正はできない場合がある。天体画像やフラット補正の原点(CCDに入射した光の強度が 0 のとき CCD値は 0 でなければならない)がゲタのためにずれてしまうのである。わずか 100 であるが影響は確実にある。天体撮影、ダーク撮影、フラット撮影、ダーク減算、フラット補正などを MaxIm DL で一貫して行えば問題ない(CCD-Softでは確認していない)。「フラット補正は○○のソフトはうまくできたが、△△のソフトではうまくできなかった」理由はこのためであると思われる。ただし、次の場合はStellaImageで処理しても全く問題ない。ゲタは消去されるからである。

○:天体画像を「天体画像−Dark画像」、フラット画像を「フラット画像−Dark画像」としてフラット補正

注意しなければいけないのは、露出0秒のBIAS画像とDark画像を使ってStellaImageでフラット補正をする場合である。

×:天体画像を「天体画像−BIAS画像−Dark画像」、フラット画像を「フラット画像−BIAS画像−Dark画像」としてフラット補正

天体画像 、フラット画像ともに 100 多く引かれているのでフラット補正は正しくできない。この場合、100 を加算してから処理をすると正しい処理ができる。

補足

CCD-SoftでBIAS画像とDark画像を撮影して、MaxIm DL でSet Calibration によって Master Bias と Master Dark を作成した場合、Master Bias はHeader にPedestal-100 と表示されても画像にはゲタが200 がはかされている。これはソフトのバグではなく、CCD-Soft で撮影した画像の FITS Header のBias 100 (ゲタが100)をMaxIm DL は認識しないためである。(CCD-Softでは Pedestal -100 とは書かない)。MaxIm DL ではMaster Bias をコンポジット (Stack) して生成するときにさらにゲタをはかせるためにこのようなことがおこる。Master Dark では Pedestal-100 のときゲタは100である(ダミーデータで確認した)。

E 光源の色温度

SkyFlatはRGBごとに異なりRGBごとに異なったフラット補正をしなければならない。の青空やEL発光パネルは、ともに青色にかなり偏っていて、天体撮影時の空のいろとかなり違う。フラット画像は撮影する波長域でかなり変わるので、フイルターによって光源の色温度を天体撮影時と近づけないと正確にフラット補正ができないと思われる。これについてはまだ実際に検証していないので、実験してみたい。EL発光パネルに色補正フィルターをつけてフラット画像を撮影するとフラット補正がうまくいった例がいくつか発表されている。
 


5.欠陥ピクセルの補正

(1).縦縞の現れるCCD画像

図1のようにSTL-11000Mで撮影した画像には局部的に縦縞状に集まった暗いピクセルが見られた。この黒い点を欠陥ピクセルと定義する。この欠陥ピクセルによる黒い点は、
 ・ダーク減算で消去できない
 ・フラット補正で消去できない
 ・短時間露出で顕著に目立つが長時間露出でなくなるわけではない
などの特徴がある。



図1 補正後(左)と補正前(右)の画像 ピクセル等倍画像
    STL-11000M(1x1) -25℃ 1200秒露出×2 Hαフィルター使用



図2 補正に使用した画像 1x1 Pedestal=-100 レベル調整(StellaImage)のレンジ=64 



図3 補正に使用した画像 2x2 Pedestal=-100 レベル調整のレンジ=64


(2).欠陥ピクセルの特徴

一般にCCDのカウント値(以後CCD値)は光の強度に対して直線性が良いとされ、ダーク減算後のCCD値はCCDに入射した光の強度に比例している。ただしCCD値はゲタをはいていることが多いので注意が必要である(BiasまたはPedestal)。このとき、任意のピクセルに対して、CCD値をCCD、比例定数をa、光の強度を I とすれば

 CCD=a・I    @

a はピクセルごとに感度が違うので、ピクセルごとに異なった値である。ちなみにフラット補正はこのCCDの性質を利用した補正方法である。


図4 欠陥ピクセルの振る舞いの仮説

図4aの正常なピクセルはBias(Pedestal)を除けば、CCD値と光の強度が比例している。欠陥ピクセルABでは比例していない(原点がずれている)のでフラット補正では欠陥ピクセルの影響を消去できない。また、図4cのような欠陥ピクセルCも考えられるがここでは欠陥ピクセルが図4aのような欠陥ピクセルAのタイプであると仮定した。ここでは図4bの の値をピクセルごとに補正すれば欠陥ピクセルによる縦縞が補正できると考えた。図4aのAやBの傾きの違いはフラット補正を行うと自動的に補正できる(感度ムラの補正と同じ)。このことから、縦縞が現れる欠陥ピクセルの特性が次式で表されると仮定した。

 CCDa・I+b  A

はピクセルごとに異なった値で、暗い縦縞が発生する位置にあるピクセル(暗く見えるピクセル)では b<0 である。このとき、CCD画像にはBias(またはPedestal)が100程度あるので I が小さいときCCD値が負を示すわけではない。=0のとき、正常なピクセルである。<0 であるピクセルは黒い点として現れる欠陥ピクセルである。

単位時間あたりの光の強度をIoとしたとき、露出 t 秒のときの光の強度 I は

Io・t     B

となる。欠陥ピクセルではA式は、

CCDa・Io・t+b   C

さらに

Aa・Io      D

とおく。Aは定数である。

C式はAを用いて表せば

CCDA・t+b   E)

となる。周辺減光があったとしてもIoがピクセルごとに異なっていると考えれば、Aはピクセルごとに定数である。したがって、露出 t を変えた画像を2フレーム以上得られれば、任意のピクセルに対して の値が決定できる。



(3).欠陥ピクセルの補正の実際

各ピクセルの が決定できたら、天体を撮影しダーク減算したCCDカウント値から を減算する。次にフラット画像のCCD値 に を減算した後でフラット補正をすると縦縞は補正することが可能である。実際にHαフィルターを使用して撮影した画像にこの補正を行った結果が図1である。このような縦縞が局部的に現れる画像は、STL-11000Mのclass2であるために生じるのであろうか?他のClass1の同型機ではほとんど見られない。
 を決定するときに、 の誤差が多いと欠陥ピクセルがない領域にノイズが増加してしまうので多くの画像を使用したり冷却温度を低く設定できる冬期に撮影するなど工夫が必要である。
を実際に決定するときに、ここでは露出時間を変えた10画像(それぞれ5フレームコンポジット:ダークは10フレームコンポジット)を使用して最小二乗法から決定した(図5、図6)。さらにこれを5回繰り返して決定した の平均値を求めこれを欠陥ピクセルの補正画像とした(図2・図3)。各画像の撮影はSTL-11000M(-35℃)+SMC PentaX 165mm F2.8(絞りF22)にD4フィルター(太陽の減光用:2x2のときはさらにND4を追加)を使用した。露出時間は1秒〜10秒である。光源はレンズ(フィルター)の前に置いた写真用のビューアーを使用したが撮影中のビューアーの明るさの変化はほとんど影響がなかった。
なお、 の決定は自作のソフトを使用し、FITS ファイルに出力してダーク減算と同じ手法で補正を行う。


図5 良好なピクセル(2点を選択して表示)
CCD値 100 を原点とするなら(Pedestal=-100)、CCD値(16bit)と露光量はほぼ比例する。
傾きのちがいは、光源の明るさのちがい(ケラレ等も)または2点のピクセルの感度のちが
いであるが両者を区別できない。


図6 欠陥ピクセル
Pedestal=-100だが露光量0でCCD値は100以下になっている。天体画像でこの点は
黒い点となって現れる。図5の正常なピクセルに比べばらつきが大きい。

6.スケアリング調整
 
図7 アクセサリープレート
アクセサリープレート(黒い板)にスケアリング調整用の押しネジ(赤矢印)を追加した。青矢印はPentax67メスマウントの位置決め用のピンの受けである。アクセサリープレートを外して加工したので、位置が再現できるように木製の位置決め用ガイドを両面テープで付けてからはずした。調整後は取り去る。



図8 調整
CCDにレーザー光を当て、CCDの反射光とマウント部に置いたガラス板の反射光を利用してスケアリング調整を行った。調整は図7の押し引きネジ(赤矢印ととなりの引きネジ)によって行う。レーザーポインターはペン型の安価なものを利用した。

調整結果
SBIGから納品されたときに、図7の右上の赤矢印の上の留めネジだけに 0.004inch=0.1mm のシムが2枚入っていてスケアリング調整がされてあった。今回、レーザ光を使って調べるとあまりにも雑な調整であることが明らかになった。このシムを取り去り、押し引きネジで調整を行いほぼ満足のできるスケアリング調整が出来た。調整量はF3.4の光学系では無視できる量ではなく、光軸調整で解決できない周辺部の星像の乱れが解消できた。冷却CCDカメラではスケアリング調整は必須と思われる(STL-11000M Class2 だけ?)。なお、この方法は星の牧場2 http://ml29050.cocolog-nifty.com/blog/ に詳しく解説されており、この方法を使わせていただいた。

    7.デジタル一眼レフとの比較(感想)

冷却CCDカメラの利点(デジタル一眼レフと比較して)

同じピクセルサイズでも冷却CCDカメラの方が解像度が良い

デジタル一眼レフはCMOS(CCD)がベイヤー配列であるため、RAW現像後の各ピクセルのRGB値は補間によって得られる。したがって総ピクセル数は約1/4と考えた方が良い。同じ35mmフルサイズのEOS5Dが1260万画素、STL-11000Mが1100万画素でピクセルサイズはSTLの方が若干大きいがSTLの方がはるかに解像度が良い。また、偽色を軽減するためにローパスフィルターを使用して像をぼかしているので解像度が落ちることも考えられる。ローパスフィルターをすべて取り去ったEOS Kiss Digital はEOS5D、EOS40Dの中でもっともシャープに写る。

冷却CCDカメラの方が良質のノイズ

デジタル一眼レフのノイズはある限界をこえるとコンポジット枚数を増やしても改善されず暗い天体の描写はよくならない。ランダムノイズと別の数ピクセルにまたがるノイズがあるように思える。コンポジットするとランダムノイズは減ってもこのノイズが残る。冷却デジタル一眼レフの性能は素晴らしいが、ランダムノイズは減っても冷却CCDカメラには暗い天体の描写はかなわない。