冷却CCDカメラ QHY16200A

2017/12/30 更新


1.QHY16200A
2.Bias と Dark
3.望遠鏡との接続
4.試写 
5.シャッタームラ
6.スケアリング調整
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1.冷却CCDカメラ QHY16200A

  QHY16200A (QHYCCD)

画素 CCD(mm)  光学系  焦点距離 写野 スケール 使用フィルター
4520×3616 27.0× 21.6  ε250C   850mm 1.8°×1.5° 1.5″/pixel LRGB(Astrodon EシリーズLRGB)
Hα(半値幅 7nm・Baader) 
OV(半値幅8.5nm・Baader)
コーワPROMINAR500nm F5.6 FL   350mm 4.4°×3.5° 3.5″/pixel
QHY16200A は、CCDにKAF-16200 を使用しており、フルフレーム転送で感度が高いこと、低ノイズであること、1 画素が 6μmであること(STL-11000Mは9μm)、オフアキシスガイダー(OAG)が付属していことが導入した理由である。ガイドカメラは QHY5L-UM を使用し撮影ソフトは MaxIm-DL を使用することを前提とした。事前の情報として以下の事項が心配された。

@ CCD の結露
A カメラ・MaxImDL のフリーズ
B カメラのスケアリング
C フランジバック


状況と解決策

@ CCDの結露

QHY16200A を防湿ケースに保管しておき使用時には乾燥空気を内部に送風する。この方法で、-30℃まで冷却して 屋内・外で10回以上使用したが結露はいまだ経験していない。

A QHY16200A・MaxIm-DL のフリ−ズ

事前の情報のとおり、フリーズが頻発した。やむを得ず QHY16200A の電源を OFF にすることも何回かあった。システムは以下のとおりである。
・MaxIm-DL Pro (Ver 5.12) GHY16200A と GHY5L-UはASCOM で接続
・カメラのアースを接続
・ASCOM Platform は最新バージョン
・ノートパソコンは 富士通 NF70X (Windows7 32bit Core2 duo 1.8GHz 3GB)、HP ProBook6550b (Windows10 64bit Corei5 2.53GHz 6GB)

症状
・MaxIm-DL でのCCDセンサー温度が突然 32.8℃になりパワーが100% になる。こうなると制御不能。カメラの電源を OFF にするかUSBケーブルをぬくしかない。
・屋内で使用中、室内照明を消したときや PC の Wi-Fi ルーターを再起動したとき起こった。
・OAGのピント合わせのとき手を触れたときに起こった(アース不良?)。
・カメラに静電気を帯びたと思われる上着が触れときに起こった(アース未接続)。
・連続撮影してときに雲が通過してOAGがガイド星を見失ったときに起こった。
・連続撮影して最後の撮影が終了したときに起こった。
・EL発光パネルをカメラに近づけたら起こった。比較的電圧の高いAC電源のノイズか?
・その他予期せぬ時に起こった。
・自分のノートパソコンでは Windows7 (富士通 NF70X) とは相性が良く安定しているが Windows10 (HP ProBook 6550b)では不安定である。HP ProBook6550b では部屋の蛍光灯スイッチの ON OFF でフリーズした。

解決策
・OAGのQHY5L-Uの最新ドライバー ASCOM Guide (β Ver 1.51.2)を(Ver 1.51.0)に変更したら症状が少し改善した。
・住宅用アース端子にカメラからのアース線を接続した(効果は不明)。
・QHY16200Aの最新ドライバー ASCOM Capture driver Ver 0.1.51.6→Ver 0.1.51.13 に Update したらかなり改善した。Dark画像、Flat画像の撮影や屋外での撮影で更新後に1回もフリーズしていない (2017 12 9)。

B カメラのスケアリング

テスト画像が片ボケを起こしたので、レーザー光で調べたら F4.0 や F3.4 のレンズでの組み合わせでも精度不足であることが判明。アルミホイルを使って簡易アダプターに挟み込み調整。片側に18枚=0.2mmも入れた(r=35mmの位置で)。OAG の構造上、フィルターの清掃や交換するとスケアリングをやり直さなければならない。特注したアダプターではこれを解決した構造にした。

C フランジバック

・ε250C と PROMINAR 500mm F5.6FL を使い、STL-11000M、Canon EOS6D の合焦位置と比較してフランジバックを推定すると、マニュアル記載値とほぼ一致した。

D その他

・ダウンロード時間は数秒だが、露出を終了してからの読み出し時間(reading)に時間がかかる。ビニングなしで 30秒、2x2ビニングで 5秒程である。
・OAG のプリズムに望遠鏡側からレーザー光を当てたら、プリズム先端付近の光がCCD 側に漏れることを確認した。明るい星がプリズムの先端付近にあるとCCDにこの光が漏れ、線状のゴーストが発生する。この対策としてプリズムの背面に遮光板をつけて解決した。
・カメラ内での反射によって、写野外の星の反射光の影響の対策を行った。
・カメラ本体のUSB端子からQHY5LU-M に接続するとノイズ(Dark画像に明らかなムラ)が発生したので使用中止。パソコンのUSB端子を使用することにした。

※様々な対策を行った結果、現在はトラブルもなく一晩中にわったて撮影できるようになった(2018 4 21)。

   


2.Bias と Dark

STL-11000M (class2) と QHY16200A のBias の比較

STL-11000M (class2) と QHY16200A のDarkの比較 
Bias は全画面の表示、Dark は中心部ピクセル等倍(100%)表示である。QHY16200A (KAF-16200) は Bias はとてもきれいだが Dark ノイズはSTL-11000M よりやや多い。ともに Dark を減算することによって消去できる。QHY16200Aの300秒の画像には必ず宇宙線(自然放射線?)と思われるものが写っている。画像のコンポジットはシグマクリップまたはメジアンコンポジットが必須である。これはSTL-11000M のダーク画像ではほとんど確認できなかった。

冷却温度-20℃、露出時間600秒のダーク画像9枚を比較明合成後Biasを減算した画像。多くの自然放射線が見られる。コンポジットするときにシグマクリップまたはメジアンコンポジットで多くを消去することができる。

3.望遠鏡との接続

 @ アダプター

テスト用アダプターで試写した結果、フランジバックやケラレ等の確認ができたので、ε250CとコーワPROMINAR 500mm F5.6 FL 用のアダプターを設計・制作(外注)した。オフアキシスガイダー(OAG)、βSGRとの干渉や光路長などで設計上の制約が多い。

ε250Cに取り付けたQHY16200A。テーパーリングで脱着とカメラのレボルビングを容易にした。写真はε250CのβSGR用アダプター。
右端はPROMINAR 500mmF5.6FL 用アダプターである。オフアキシスガイダー(OAG)は標準付属品である。OAGのガイド用カメラはQHY5LUである。

OAGとアダプターに加工をしてOAGを固定したままカメラ本体固定ネジ(M2)の取り外しができるようにした。
これによってスケアリングをやり直さずにフィルターの清掃や交換が可能になるようにした。

乾燥空気の挿入口を設置してCCDの結露防止をした。アダプターのカメラ本体への固定はオリジナルのM3ネジ6本である。4本のM3イモネジでスケアリングを調整する。OAGのプリズムの一部に光軸に平行なレーザー光線を当てたら本体のCCDに屈折光が当たることが判明した。この迷光防止のためプリズムの裏面に遮光板を取り付けた。テーパーリングの固定用のネジはβSGRとカメラ本体の間に位置するので最も扱いやすい位置にしたので等間隔でない。

4.シャッタームラ

露出時間を0.05秒から2.0秒まで変えてフラット画像を得てこれによってフラット補正を行った。下の画像は色々な露出時間で得たフラット画像によってフラット補正を行ったものである。特に各画像の上側の隅のムラに注目。0.05 秒露出ではフラット補正画像は全体的にムラが多いのがわかる。1.0 秒では少しムラが残る。露出時間を 2 秒にするとほぼムラは無くなる。ちなみに、5 秒では 2 秒とほとんど変わりなかった。画像の上側はカメラの中心方向で、下側はOAGのプリズムがある方向である。このムラは短時間露出時間のシャッターのムラではないかと思われる。0.05 秒露出で得たフラットフレームは明らかにムラの存在が確認できる程である。このテストでフラット画像の露出時間は 2 秒以上必要であることがわかる。M42の撮影データはε250c 850mm F3.4 R-フィルター5分露出×1。





5.試写

アルタイル付近
2017 7月31日
露出時間 5 分× 2
総露出時間 10分
Hα Filter Baader (7nm) フィルター使用
QHY16200A 冷却CCDカメラ
冷却温度 -15℃
撮影・ガイド MaxIm-DL

KOWA PRO1INAR 500mm F5.6 FL TX07-T 使用
350mm F4.0
Guide QHY5L-UM
ダーク減算、フラット補正
StellaImage 8
PhotoShop CC
撮影地 東京都稲城市



Baader (7nm) と Astronomik (12nm) フィルターのゴースト
ゴーストはAstronomik のフィルターではかなり強烈にでるがBaader のフィルターはあまり出ない。ゴーストの大きさは大きい。画像処理で消しやすいのは Baader である。共通データ ε250C 850mm F3.4 20分露出。STL-11000M

6.スケアリング調整

CCDにレーザー光を当て、CCDの反射光とマウント部に置いたガラス板の反射光を利用してスケアリング調整を行った。レーザーはペン型の安価なものを利用した。
QHY-16200Aのスケアリングは必須である。特注アダプターにはスケアリング調整機能を装備した。なお、スケアリング調整方法は星の牧場2 http://ml29050.cocolog-nifty.com/blog/ に詳しく解説されており、この方法を使わせていただいた。