デジタル一眼レフにおけるフラット補正


1.フラット画像の撮影
2.フラット補正の原理
3.デジタルカメラの縦スジの除去 New

2012/01/03 更新


フラット画像の撮影

フラット補正の成功例と失敗例
強調処理した画像 フラット画像 カメラ
なし フラット補正なし。

周辺減光と周辺部のカメラ内部のケラレが激しい。ε250Cと35mmフルサイズのEOS 5Dではフラット補正なしではほとんど使用できない。
ε250C
EOS 5D- AP
青空を撮影 天体撮影時と同じ条件で撮影したフラット画像で処理をした。多少不満は残るが比較的良好に補正できた。 ε250C
EOS 5D- AP
青空を撮影 カメラの向きがちがう

長辺方向を赤経方向に合わせ天体を撮影したが、フラット画像も赤経方向に合わせ撮影したのだがカメラが180°回転したものを使ってしまった。
ε250C
EOS 5D- AP
青空を撮影 カメラの向きがちがう

長辺方向を赤経方向に合わせ撮影したが、フラット画像を赤緯方向に合わせ撮影したものを使ってしまった。
ε250C
EOS 5D- AP
青空を撮影 望遠鏡の補正レンズがちがう

ε250Cの補正レンズが従来のものからデジタル対応のものに変更したらフラット画像が合わなくなった。旧補正レンズで撮影したフラット画像で処理をした
ε250C
EOS 5D- AP
EL発光パネルを撮影 フラット画像の撮影に近距離に発光体を用いて鏡筒開口部に拡散板をおいた。微妙な散乱光が天体撮影時とちがうことが考えられる。鏡筒内の散乱光によって鏡筒が明るくなっている。これが原因か? ε250C
EOS 5D- AP
青空を撮影 カメラのフィルターがちがう

SEO COOLED 40Dのゴースト対策で新しいフィルタに換装後M101を撮影した。フラット画像は換装前の古いフィルタで撮影したものを使ってしまった。
ε250C
EOS SEO COOLED 40D
青空を撮影 SEO COOLED 40Dのゴースト対策で新しいフィルタに換装後M101を撮影した。フラット画像も換装後の新しいフィルタで撮影したものを使った。もともと周辺部のカメラ内部のケラレが少なく補正は良好である。 ε250C
EOS SEO COOLED 40D
青空を撮影 ISO感度がちがう

フラット画像はISO100、天体画像はISO800で撮影した。縦にスジがいっぱい現れたが、ISO感度を同じにすることでこのスジが除去された。(画像をクリック
ε250C
EOS SEO COOLED 40D
フラット補正
なし
Canon FD300mmF2.8L に35mmフルサイズカメラをつけ景色を撮影。 Canon FD300mmF2.8L
EOS 5D
青空を撮影 良好に補正できた。 Canon FD300mmF2.8L
EOS 5D


フラット画像は次の点に留意して撮影をすると良いと思われる。
@. 天体撮影時と全て同じ光学系、フィルター、カメラ位置、同じフードをつけ徹底的に撮影時と同じ条件で撮影する。天体撮影時と全て同じ光学系、フィルター、カメラ位置、同じフードをつけ徹底的に撮影時と同じ条件で撮影する。
A. 30画像ぐらい撮影しフラット画像のランダムノイズをできるだけ軽減する。もちろんダーク減算もする。
実際にフラット補正を行うと強調処理を行うと完璧な補正はむずかしい。特に35mm フルサイズのカメラではミラー切れの影響は大きくフラット補正に困難さを感じる。デジタル一眼のリニアリティの問題や、完璧なフラットな光源をどう得るかなど課題が多い。フラット補正についてはまだまだ完全に補正できると言い切れない点も多くまちがった考えもあるかもしれない。さらに改良点や訂正があれば更新していく。

2.フラット補正の原理

x、y :RAW画像上のピクセルの位置
LR(x、y) 、LG(x、y) 、LB(x、y) :天体撮影画像のRAW画像のRGB値
LRd(x、y)、LGd(x、y)、LBd(x、y) :天体撮影画像のRAW画像のダークのRGB値
FR(x、y) 、FG(x、y) 、FB(x、y) :フラット画像のRAW画像のRGB値
FRd(x、y)、FGd(x、y)、FBd(x、y) :フラット画像のRAW画像のダークのRGB値
TR(x、y) 、TG(x、y) 、TB(x、y)  :真の天体撮影画像のRAW画像のRGB値
KR(x、y) 、KG(x、y) 、KB(x、y) :光学系の減光率、0≦K≦1  K=0 ケラレ等で光が全くこない。K=1 ケラレが全くない
R画像に関して、ダーク減算した天体撮影画像の値は周辺減光等のない TR に光学系の減光率 KR を乗じたものであるので、

 LR(x、y) − LRd(x、y) = KR(x、y) * TR(x、y)                           (1)
と書ける。一方、フラット画像に関してダーク減算したフラット画像の値は周辺減光のないフラットな値 FRc に光学系の減光率 KR を乗じたものであるので、

 FR(x、y) − FRd(x、y) = KR(x、y) * FRc                                 (2)

(1)÷(2)を行うと

 TR(x、y) = ( LR(x、y) − LRd(x、y) )/{ ( FR(x、y) − FRd(x、y) ) / FRc }       (3)

となる。FRc は

 ( FR(x、y) − FRd(x、y) ) / FRc = 1 になると都合がよいので、FRcは FR(x、y) - FRd(x、y) の全画像の平均値を採用する。


(3)は光の強度とRAW画像のRGB値がリニアーな関係にある、すなわち比例していることが大前提となっている。光の強度が0 のときRGB値は0でなければならない。したがって短時間露出でダーク減算が必要でないと思わる場合でも、天体撮影画像、フラット画像ともにダーク減算は必須である。ちなみに、この除算では銀塩フイルムには適用されないのは明確である。銀塩フイルムでは写真濃度と光の強度の対数が特性曲線によって関連づけられるためである。銀塩フイルムでは除算も減算も正しくない。
 次にデジタル一眼では光の強度とRAW画像のRGB値がリニアーな関係にあるか?これに関しては調査中だが、簡単なテストでは低輝度部分ではほぼ比例しているが光の強度が強くなるとサチュレートする傾向にあるのでこの部分を使わないように天体撮影画像とフラット画像の露出時間をきめる。


青空でフラット画像を撮影